法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』とびだす伝記電気/ほしい人探知機

「とびだす伝記電気」は、文字ばかりの本を読むように感想文の宿題を出されたため、伝記にとりつけると偉人が登場する秘密道具をドラえもんが出してやるが……
完全なアニメオリジナルストーリーで、原作から引いた描写は「人間ブックカバー」の本を読むと眠ってしまう場面くらい。
前半は偉人のさまざまな豆知識、後半は偉人同士を戦わせるトーナメントと、偉人に親しめる学習的ストーリーではありつつ、根本的に発端からずれていることがオチになる。実のところドラえもんの秘密道具の選択からボタンのかけちがえが起きてしまっているので、のび太たちは悪くない。
しかし偉人同士のバトルであれほど熱くなれるのなら、山田風太郎魔界転生』や虚淵玄Fate/Zero』あたりを与えれば楽しんで読みそうに思える。ちょっと小学生には早いかな。


「ほしい人探知機」は、車のセールスマンとしてうまくいかない叔父さんのために出した秘密道具を、気になっていた捨て猫の主人探しに使ってみるが……
原作を忠実に映像化。親戚の問題解決が秘密道具のチュートリアルになるだけでなく、伏線をおりこんでいる。その伏線の回収はくりかえしギャグとしても成立していて、そこから予定外の方向へ秘密道具を使うことで問題を完全に解決する。このように構成が緊密なので、大きく改変することはできないのだろう。
アニメオリジナルは細部を足したくらいで、捨て猫の箱に誰かが紙切れをしきつめるという伏線を入れたり、アイデアがうまく出ないフニャコフニャオを映像として見せたりしたくらい。箱の伏線があるおかげで、ただ猫がほしいだけでなく、飼う労力をおしまない人物にあずけたという安心感と納得感が生まれた。