法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』大男がでたぞ/キミのひとみは100万ボルト

前後とも初期原作からアニメ化。それぞれ小野慎哉と田中薫が作画監督して、よくアニメとして動いていた。演出を担当した岩田義彦はGONZO出身で、たぶん作品初参加。


「大男がでたぞ」は、ジャイアンに対抗するため肉体の一部を大きくする秘密道具を使用。空気でふくらませているだけなので強くも重くもならないが、巨人を演じてジャイアンを驚かそうとする……
原作と違って、ジャイアンが大男をなかなか信じず、かわりにスネ夫が作戦に参加。3人いることを利用して、いれかわりたちかわり肉体の一部を見せて、少しずつジャイアンに信じさせていく。のび太が手紙をとどける場面も、原作のようにただ手渡すのではなく、巨人にやられたふりをする。
ひょっとして『シン・ゴジラ』を受けたアレンジだろうか。基本のアイデアこそ同じだが、構図を工夫することで単調にならず、怪獣映画のような巨大感が表現されていた。良好な作画と光源を意識した撮影が、いっそうニセモノの巨人のリアリティを高める。家に逃げこんだ時の屋内のレイアウトも地味に良い絵がつづく。


「キミのひとみは100万ボルト」は、しずちゃんを宿題にさそうため、まばたきした相手を恋に落とす秘密道具「百万ボルトひとみ」を使用。するとジャイアンスネ夫を恋させてしまい……
流行歌を元ネタにした短い原作を、ふくらます方向でアレンジ。しずちゃんにヤキモチを焼かせようと、ハリウッドスターのところに集まっていた女子を恋に落として見せびらかせようとする。
他に後半でジャイアンスネ夫から逃げる描写を増やしていたりしたものの、こちらは作画の良さが展開を支えてなくて、いまいちだった。動物の助けを借りるというアイデアまでは藤子F作品っぽいが、カラスがのび太を持ちあげようとして失敗するだけなのは腰砕け。カラスがジャイアンスネ夫を襲う展開にでもすればいいのに、それで逆転するアイデアをスタッフが思いつかなかったのだろうか。