法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』N・Sワッペンで運動会/しんじゅ製造アコヤケース

前半がアニメオリジナル、後半が原作通り。


「N・Sワッペンで運動会」は、くっつけることで磁石のN極やS極になる秘密道具をつかって、のび太なのに速く走ってみせる。それでリレー選手に選ばれてしまい……
宇佐美ボルトという少年の登場など、オリンピックをにらんだようなエピソード。ちなみにボルトの声は池澤春奈があてていた。
引っぱる方向が一定の磁力を周回コースで活用するため、試行錯誤していく過程は楽しい。結果としてモーターのような仕組みが生まれた。用意が失われた失敗に臨機応変な対応をした展開もいい。
ただ、アニメ内の描写だけなら矛盾はしていないが、原作既読者としては「人間の着ている服にワッペンをつけないと作用しないのでは?」という疑問をおぼえる。ワッペンがついた服をぬぐと、その服は磁石にならないという描写があるからだ。むろん、映像化によって設定が少し変わることは『ドラえもん』に限らないし、アニメにも限らないが。


「しんじゅ製造アコヤケース」は、しずちゃんが勝手にもちだして失ってしまった真珠のかわりとして、秘密道具で急いで真珠をつくろうとするが……
リニューアル後にアニメ化された印象があったが、検索しても見つからないから記憶違いか。本筋は原作通りだが、ぐっと人情劇に寄せている。
原作では、真珠ができる仕組みを教える生物の知識と、オチのスネ夫を見せるためだけのエピソード。ゆえに秘密道具で本来より価値の高い代替品を用意できれば、それで問題なく終わった。それをリニューアル前のアニメ化では、代替品を用意するごまかしは道義的に許されないと考えて、しずちゃんは本物をさがしつづけた。
そして今回のアニメ化では、最初にネックレスを壊した経緯もしずちゃんが外すのを助けようとした失敗に変えて、散らばった真珠をさがす描写も長くしている。しずちゃんが自分自身を許せない描写は以前のアニメ化と同じ改変だが、ネックレスにこめた思いを聞くことで、いっそう重みが増している。ついでに、いくら探しても見つからなかった真珠のありかも、いかにもリアルで説得力あった。