法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』お箸はのびるよ、どこまでも/チリつもらせ機

アニメオリジナルの前半と、展開は原作通りの後半と。


「お箸はのびるよ、どこまでも」は、のび太へ箸の大切さを教えようと「スーパー箸」を出したら、なぜかジャイアンとの対決が始まってしまう……
未来にも箸という道具が残っていて、現在に学んでいるマナーが無駄ではないと教えるための「スーパー箸」。しかし自由自在にのびていって、部屋に座ったまま街全体の食べ物を盗んでいくという行為が根本的にマナーに欠けている。それをジャイアンに奪われ、マナーを教えるロボット「お箸マスター」が試合形式を決めるのだが、それが相手の弁当をうばいあうものだったりと、やはりマナーらしさが皆無。
もちろん、スーパー箸をつかうこと自体が現代ではマナー違反となるオチである。つまりはマナーでも道具のつかいやすさに役立つものだけが重視され、社会的な嫌悪感は相対化する物語でもあった……と考えていいのだろうか?
料理がポイントとなる作画はがんばっていた。弁当対決で、どちらも男子らしく茶色い料理ばかりで、カラフルさに欠けるリアルさが楽しい。ただ、ちゃんと魚肉部分に内蔵の入るスペースが作画されているのに、魚の中骨に肋骨が存在しないような作画だったのは謎。内臓部分だけ骨がないように作画するだけでいいのに。


「チリつもらせ機」は、どうしてもドラ焼きを食べたかったドラえもんが、日本中から微量に盗む秘密道具を使ってしまう。それをネタにゆすられ、のび太の自由にさせてしまい……
展開そのものは予想できるが、微量でも日本中から集めれば大量になるというビジュアルの面白さと、土地を広げれば困ったことが起きるという現実味をきちんと入れていて、よく物語としてまとまっている。
完全にドラ焼き依存症のドラえもんも楽しい。生前単行本未収録の後期作品だからこそ、自己二次創作のようなおもむきがある。
ところで、アニメオリジナルで日本中の鉛筆を1mmずつ集めて宇宙にとどくような巨大鉛筆になる描写がある。日本鉛筆工業協同組合サイトによると年間生産数で約4億5千万本という*1。前年や前々年に生産された鉛筆もある程度まで残っていると考えて、約2倍の10億本で計算すると千km。低軌道人工衛星の高さの半分くらいで、なるほど頭上に宇宙空間が見えて、地球の丸さも感じられる高度だ。