法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『魔法つかいプリキュア!』第3話 魔法商店街でショッピング!目覚めるルビーの力!

魔法学校へかようことを決めた主人公は、リコにつれられて魔法の街を見てまわる。そこでさまざまな住人に受けいれてもらいながら、魔法がある社会について知っていく……


連続の村山功脚本に、爲我井克美総作画監督稲上晃作画監督に、暮田公平演出。バンク原画に板岡錦、本編原画に東出太など。スタッフワークとして特別なものはないが、この作品が始まってから初めて「うん、いいじゃないか」と素直に思った。
まず実際に商店街を主人公が見て、住人とのかけあいで魔法がデフォルトで存在する社会を説明していく。主人公が初心者向けのホウキをわたされて、同じデザインということからリコも同じところで足踏みしていると示唆されたり。魔法使いの服をつくってもらったことを「サービス」と呼ぶことで魔法の利用に対価が必要なことを示唆したり。雑談のなかで校長の実年齢が外見より高いことに言及したり。
ひとつひとつは短時間でも、二重三重の意味がこめられ、前半だけでも濃密に魔法世界を感じることができた。すでに外部情報で知っていた「ナシマホウ界」という固有名詞の力強さに、物語が負けていない。
しかもただ魔法の発動が描かれるだけでなく、それがその世界でどのような意味をもつかの情報もこめ、さらにメインキャラクターの描写としても成立している。これは現実世界を舞台とする過去シリーズでもやってほしかったことだ。


また、ところどころ作画リソースには不足を感じたが、それでも映像作品として成立する技巧がつかわれていて、それも好印象だった。
特に、主人公とリコのやりとりで空気が変わった時に流水の色が変わったり、プリキュアがルビー化する決意の時に画面が赤く染まっていたりと、状況に応じて色設計を変える演出が印象的。おかげで華やかで長いバンク作画も浮かない。