法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ぼく、マリちゃんだよ/ずらしんぼ

今回は前後ともギャグに寄せる方向へアニメアレンジ。作画はベガエンタテイメント回なのでクセがない。


「ぼく、マリちゃんだよ」は、休みをほしがっているアイドルのため、大ファンのドラえもんのび太が入れかわり、かわりに仕事をしてあげようとする。
原作初期からのアニメ化。初出が小学三年生なためか、美少女に男子が入れかわっても性的な要素は少ない。浜辺のグラビア撮影も、アニメでは水着だが、原作では露出の少ない夏服。あくまで美少女が男子の性格になるというギャップで笑わせる。
今回のアニメでは、のび太がまったくアイドルへ思いいれを持たないことと、ドラえもんもアイドルに入れかわることがオリジナル要素。アイドルに入れかわった後の描写が増えて、よりカオスな人間関係になり、スラップスティックな笑いが強まった。
しかもオリジナル要素のおかげで、のび太がインタビューにうまく答えられないことや、歌番組を口パクで切りぬけたことにも説得力が増した。なるほど熱心なファンでなければ歌のふりつけを完全コピーできないだろうし、実際に完璧なふりつけをしっかりアニメで動かされるとなかなか笑える。さらにそこにドラえもん声が重なるギャップで大笑い。


「ずらしんぼ」は、珍しくジャイアンが貸してくれた漫画をスネ夫が汚してしまい、その汚れの原因を押しつけられたのび太が秘密道具で切りぬける。
汚れや模様を表面にそってずらしていく秘密道具が登場。汚れや模様がデジタル技術で平面にそってずらされていく。現代にアニメ化されたからこその良さがあった。
しずちゃんのカバンに好きな模様をつけてあげるアニメオリジナル部分も、雑誌表紙がさまざまな物にはりつくシュールさが楽しい。スネ夫への復讐もオリジナル要素が追加され、特に扉がずれているシュールな情景はまさにダリの絵のようで印象深かった。
しかし、原作のオチにあたる復讐の後、世界中の名画を銭湯に持ってくるアニメオリジナルのオチをつけたのは蛇足だろう。名画をどこから持ってきたのか特定しないふりをするテロップのギャグは楽しかったが。