法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』マツタケ食べたい!/ボクをけって!サイオー馬

アニメオリジナルの前半と、かなり原作通りな後半と。今回はアニメーションに魅力ある作画スタッフが入っているのに、あまり動かすコンテでなかったのが残念。


マツタケ食べたい!」は、とおりがかったスネ夫マツタケを食べ飽きたと自慢。のび太たちはママのためにと偽マツタケを裏山に植える……
アニメオリジナル秘密道具「モドキスプレー」が再登場。2013年のエピソードは、カニカマのカニ化という順当なものから、ブラックに笑えるサスペンスが展開される見どころだった*1
今回も最初はシイタケのマツタケ化にはじまり、ちゃんとマツタケができる条件をドラえもんが説明できている。しかし偽マツタケを植える現場になると適当そのもの。わかりやすいからと木の枝に植えたかと思えば、偽マツタケを補充するために家にある食品を何でも偽マツタケにしてしまう。
スネ夫のママが語るマツタケの場所がことごとく外れるギャグや、見た目に味覚が騙されるという心理ネタは、それぞれ単体なら悪くなかったろう。しかしドラえもん側がリアルな偽マツタケをつくろうと努力していないから、ドラマとして成立していない。あせっていたとはいえ、自分たちでマツタケ化しておきながら、食べられると偽物とばれると困るのは、いくらなんでもおかしいだろう。たとえば、いそいで手分けしたためのび太がおかしなところにマツタケを植えてしまったとか、ママ以外の人間にはキノコじゃない偽マツタケをあたえるとか、もっと自然な流れにしてこそギャグが映えると思うのだが。
個々のネタもしつこいだけで笑えなかった。オチだけは伏線が機能していて良かったが。


「ボクをけって!サイオー馬」は、のび太の不運をなぐさめようと、不幸と幸運は交互にくるとドラえもんが語る。それを秘密道具で実現しようとするが……
ことわざ実現ネタを、ほぼ原作に忠実にアニメ化。秘密道具のモチーフとなった故事成語の説明を自然に足したくらいで、ここ最近のように展開そのものを変えたりしていない。原作にもあるドラえもんによる縄トークなど、長々とやったからこそ笑えるものだ。
コンテ演出は小倉宏文。こみいった構図が連発する冒頭や、結末の止め絵など、なかなか映像がこっていて楽しかった。