法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』#6 彼等について

前回の裏切りを受けて、地球をめざすための新たな協力者を必要とする鉄華団。ほとんどマフィアに近い木星組織と交渉することを決定する。
一方、船内ではおだやかな時間が流れており、教育を受けられなかった子供たちへクーデリアが文字を教えていた。


今回は時間いっぱいかけて各勢力の情報整理と意思決定を描いていく。いかにも西澤晋コンテらしい精緻なレイアウトとゆったりしたテンポが物語にあっていた。
しかし戦闘は前回の結末に少し足したものが冒頭にあるだけ。予告を見ると次回にたっぷり戦闘がありそうだが、戦闘でないにしても何らかのメカ描写はほしかったところ。前回に省略されていたユージンの回収を描写するとか、整備シーンを増量してメカアニメとしての面白味を足すとか。
宇宙船内の重力の有無が場所によって違うのも、おそらく設定的な説明はあるだろうが、宇宙を舞台にした状況を映像として活用できていない。ただ、宇宙の見える窓で鏡写しになる三日月とオルガの、共依存と裏腹な信頼関係を見せる場面は良かった。


あと、今回で初めてクーデリアの理想が三日月たちを助ける可能性と、それを三日月たちも歓迎するかもしれない予感が描かれた。ここまで肯定的に描いてきたオルガと三日月の関係がゆらぐきっかけになるかもしれない。
ただ、クーデリアが何を知っていて何を知らないのか、そして自身の知識の範囲を認識できているのか、あいかわらずよくわからない。ただの独立運動の象徴ではなく、実際に交渉までおこなっていたことが明言された。台詞の説明臭さをさけるために会話する一方を無知にする手法はあるが、ギャラルホルン側の会話のように概要を知りつつ細部を確認する描写でいいはず。
クーデリアを世間知らずに描きたいとしても、その無知さを自覚していて、好奇心いっぱいに質問をくりかえして相手を閉口させるキャラクターならば、それはそれで社会運動家らしい性格になりえたと思うのだが。現状では、おかざり少女キャラクターとしてアトラとかぶってしまっている感すらある。