法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』第1話 東京の魔女/第2話 『黒い霧』の中で

第1話、喫茶店の片隅で異星人と裏取引する天文学者。それを阻止するよう当局にたのまれたウェイトレスは魔女っ子に変身して、そのまま巨大異星人の戦いに巻きこまれる。地球人と命をわけあった罰として正義の異星人が政府機関の青年に処理されてしまうのだが……
第2話、子供と遊ぶことが存在意義なオバケが、デパートの屋上で美しい昆虫を逃がす。数年後、黒い霧におおわれた国会で、オバケは昆虫人間と対峙することになる。どうやら太古の地球を昆虫人間が支配していたらしいが、今の人類が地球をあけわたすはずもなく……


水島清二監督、會川昇原作脚本、ボンズ制作のオリジナルTVアニメ。パロディチックなストーリーに、カラフルなパラレル日本、そして激しいアクション作画など、少し前のTVアニメ『ローリング ガールズ』*1を連想した。
TVアニメ「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」公式サイト
さまざまな超人が存在する「もうひとつの日本」。超人の存在は公的には関知されないが、社会秩序のため処理する政府機関がある。その処理の善悪を、時をへだてて問いつづける。
ストーリーは『魔法の天使クリィミーマミ』や『ウルトラマン』といった作品群のパロディのようだが、ヒーローの善悪二元論を懐疑するだけなら原典の作品群でも描かれていた。この作品の特色は、政府機関で唯一の人間らしい青年が、いずれ政府機関と決別する未来を、各話に組みこんでいることだ。かなりこみいった語り口だが、超人たちのキャラクターがベタなおかげで、問題なく物語についていける。
もちろん、時系列をずらしてキャラクターが考えを変える未来をあらかじめ提示するだけなら、さほど珍しくない。しかし、同じキャラクターの過去と未来で異なる主張をとおして、善悪を懐疑して、その懐疑をも懐疑する。この種の作品では珍しく、善悪を懐疑して現実に流されることを良しとしない。善悪を切りわける困難を現在に痛感しつつ、それでも理想をもった過去があることを確認し、理想を目指そうとする未来を生きる。


かつて後味の悪い物語ばかり展開していた會川昇という脚本家だが*2、最近では最も力強く理想をうたう物語を書きつづけているような気がする。これは主体的な作風の変化なのか、それとも時代の変化で基準が変わったためか。

*1:TVアニメ「ローリング☆ガールズ」公式サイト

*2:そのころは、個人的には嫌いな脚本家の筆頭だった。いくつかのノベライズ小説はけっこう好みだったが。