法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『Go!プリンセスプリキュア』第35話 やっと会えた・・・!カナタと失われた記憶!

カナタ王子そっくりの少年がいるという情報を聞いて、春野たちはバイオリン職人のところへ向かう。しかし再会した少年は記憶を失っていた。
カナタの記憶をとりもどそうと、春野たちはいろいろな方法を試すのだが……


第21話*1の戦闘でプリキュアを逃がす捨て石となったカナタと、1クールをへての再会。
別れたまま行方不明で物語が終わるはずがなく、記憶喪失しての再会まではよくある展開にすぎない。しかし第13話のゲストキャラクターを引っぱってくるとは予想できなかった。なるほど自営業の職人であれば、身元不明の少年をかくまっていても不自然さが少ない。記憶をもどす試行錯誤が回想をかねている構成もうまい。
何より、記憶がもどらない現状を春野が肯定して終わったことに感心した。ひっぱった問題を一話で解決する展開が好きではないし、記憶喪失のままかさねた時間をきちんと尊重している良さがある。深読みすれば、『美少女戦士セーラームーン』に代表される前世の因縁でたたかう少女たちへのアンチテーゼかもしれない*2


作画監督は河野宏之で、原画もいつもの3人だけ。演出は『聖闘士星矢Ω』終盤でシリーズディレクターとなった暮田公平。
後半になって睫毛の単調な絵柄の癖が出ていたものの、今回は全体として良作画だった。プリキュアより幼い子供たちなど、ラフな描線で生き生きと動いている。番組開始24分半ごろの海藤や天ノ川など、本来のキャラクターデザインよりも輪郭が好みなくらい。
演出も作画の基礎力の高さを活用して、これまでにない構図を多用して楽しませてくれた。公園で骨組みの上に妖精を乗せたり、花畑の丘をのぼりおりして、キャラクター位置に高低差をつくりだし、俯瞰や煽りを強調する工夫が随所であった。多数のキャラクターをひとつの場所にかためた時、画面が単調にならないための工夫でもある*3

*1:感想はこちら。『Go!プリンセスプリキュア』第21話 想いよ届け!プリンセスVSプリンセス! - 法華狼の日記

*2:ただし春野も少年がカナタであることを確信していることにかわりないし、トワが呼び名で兄妹関係になるよう願ったし、あくまで深読みだとは自覚している。

*3:暮田 公平 on Twitter: "@syunsou ありがとうございます。東映作品は他の作品含めて登場キャラクターが多いから大変ですね"