完全に通常の番組構成にもどった。しかし前半は、3話構成でつくることを想定したような原作選定だった。
「ゾクゾク！おばけ線香」は、友人を見返すためマッチポンプでオバケ退治しようとするが、のび太の想像にもとづいたオバケもダメダメで……
公式サイトでは原作として旧単行本未収録の2エピソード「オバケせんこう」「ゾクゾク線香」が併記されている*1。オバケを線香で呼び出す前半と、線香をかいで怖がりになる後半は、それぞれ原作に忠実な内容ではあった。
原作はどちらも一発ネタなので、抱きあわせにする意図はわかる。線香とオバケというモチーフを共有しながら、まったく異なる物語が連続する構成は面白く、内容も充実していた。
映像面もなかなか良好で、特に後半の庭から屋内へ逃げ出すレイアウトはよくできていた。小西富洋作画監督には今後も注目したい。
「うわさ花しが咲いちゃった！」は、噂話を広める道具をつかって、好ましくない噂話を上書きしようとする……
かなり良い意味で原作の印象に近いアニメオリジナル展開だった。秘密道具のネーミングだけ、中途半端に「し」を残すのではなく「うわさ花」で止めてほしいと思ったくらい。
タンポポのかたちをした秘密道具のデザインはおもしろく、別々の噂話が交配によってまじりあってしまうという展開も説得力ある。のび太が怒る内容が、10回連続0点ではなく9回連続0点というバカバカしさも、原作に近いニュアンスを感じさせる。種が飛ぶ細やかな表現もグッド。
