法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』

ともだちの幽霊とわかれてから1年後。少し成長した少年少女が秘密基地にもどってきた。
少年少女は過去を思い出しながら、成仏したともだちへ向けて手紙を書いていく。


2013年に公開された、2011年のTVアニメの総集編映画。イベントで朗読されたという「めんまへの手紙」をとりこみ、新しい場面を加えて1時間40分にまとめている。
劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。| アニメ公式サイト
11話かけて過去の自分の痛い記憶に向きあっていったTV版と違って、友人の記憶から美しい思い出をすくいあげていく、そういう物語だった。
幽霊側の視点を多くして、現在を優しく語っていく。現在の惨めさの象徴として滑稽に演出しすぎていた松雪集*1という少年も、劇場版では幽霊の語りで美しいと肯定された。
そして最も痛い記憶の前提にすぎず、TV版では痛みとともに思い出されるばかりだった秘密基地。その結成と活躍の楽しい日々は新たな映像で描かれる。後日談にあたる少年少女の現在の姿も、それなりに毎日を楽しんでるように映しだされる。
TV版でも映像は安定していたが、新規作画はさらに良いものだった。特に顔へ落ちる影が、複雑すぎずうるさくなく、しかし立体表現としては充分。


ただ、総集編らしくTV版のクライマックスを劇場版でもクライマックスにしていたことについては、もっと違ったかたちでも良かった気はする。
ここまで語り口を変えるのであれば、TV版のクライマックスから導入して、幽霊の語りのみをクライマックスにすれば、ずっと後日談らしく構成がきれいになったかもしれない。

*1:インターネット事典でファンが書いたと思われる項目でも、「ネタキャラ」という評価ばかりが定着している。松雪集 (まつゆきあつむ)とは【ピクシブ百科事典】松雪集とは (マツユキアツムとは) [単語記事] - ニコニコ大百科