法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『Go!プリンセスプリキュア』第24話 笑顔がカタイ?ルームメイトはプリンセス!

「紅城トワ」という名前での新生活に苦労しているトワイライトと、モデルの仕事にのめりこみながら同居人を支える天ノ川きらら。
それぞれ孤高をたもっていたキャラクターが助けあうことで、自身の立ち位置を見つめなおしていく。


敵から味方となったキャラクターが社会にとけこんでいくパターンだが、ていねいに展開しているので見ていて違和感なく飽きさせない。
日常生活では侍女や侍従に世話をさせようとする紅城だが*1、バイオリンやバレエや学業では優等生。笑顔を忘れていたという自認に対して、以前のエピソードで笑顔を見せたことを天ノ川が指摘する。ちゃんと過去エピソードからの連続性が感じられ、それがキャラクターに厚みを生む。
同種のエピソードと比べて出色なのが、天ノ川と同室の設定。新キャラクターがくわわった時に既存のキャラクターがくすみがちなところ、むしろドラマの少なかったキャラクターを掘りおこすきっかけにする。天ノ川のまわりの出来事として、カメラマンやスタイリストが天ノ川を気づかったり、名も無き人々の判断によるフォローがちゃんと描かれていたのも好印象だ。


今回の脚本は伊藤睦美で、演出は佐々木憲世、作画監督青山充。寮生活や学業の、こまごまとしたレイアウトをそつなくこなしているのは青山充個人の腕か。キャラクター作画は粗かったが、原画として星野守と濱野裕一が入っているためか、終盤で部分的に絵が整っていた。
映像表現としては、やはりシーツをもちいた演出が印象的。日常生活のひとつとして寮のシーツを干す場面から、紅城と天ノ川を誰も知らない場所へ自然に導いていく。木にかかった白いシーツをめくったとたん、一気に奥の風景が見えてくる。演劇的で、映画的な表現だ。脚本段階でも指示できる内容ではあるが、演出段階でふくらました可能性も感じるし、戦闘への移行でシーツを使ったカット割り*2はコンテでないと指示しにくいだろう。

*1:考えてみると、こういう育児番組のような描写は初めてか。

*2:ワイプの一種だといわれるが、正確な用語はない様子。アニメでは昔から多用され、今敏監督の好む技法として知られている。