法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』海をひときれ切りとって」「あとはおまかせタッチてぶくろ」「腹ペコのび太の3日間

今回も3本立てで、すべて原作あり。


「海をひときれ切りとって」は、フォークとナイフで空間を食べ物のように切りとる秘密道具「切りとりナイフとフォーク」が登場。自宅の庭で水遊びしようとするが……
ほぼ原作通りだが、アレンジがことごとく滑っている。特にアニメオリジナルでモアイを持ってくる意味がまったくわからない。遺跡を運んでいるわけで、空間そのものを移動するビジュアルの面白味も欠けている。
普段よりアレンジがきついと感じるのは、通常の2本立てでアレンジをする時は描写を足すだけでもいいことに対し、尺の余裕がない3本立てでアレンジするには原作描写を引いてからオリジナル描写を足さなければならないためか。
今回は高橋敦史コンテだが、演出が腰繁男で、ところどころレイアウトが甘い。人間の位置関係などは面白かったし、モアイの全身を映さない構図などは上手いのだが。


「あとはおまかせタッチてぶくろ」は、責任や要求を他人に押しつけられる秘密道具が登場。掃除当番を押しつけられた復讐をはじめようとするが……
原作では同じ秘密道具で違う2エピソードがある。今回にアニメ化されたのは後のエピソード。個人的には、ジャイアンへの反撃方法が意表をついていた面白味で、前のエピソードが好きだった。


「腹ペコのび太の3日間」は、食べ物の大切さを学んでもらうため、何も食べられなくなる秘密道具をドラえもんが出したが……
原作でよくある、意図した以上の試練がふりかかるパターン。時間移動による試練の解決もパターン通りだが、今回は解決がさらなる試練を呼びこむことを予告しているところが出色。想像にまかせることで恐怖を増大する、良い構成だ。
そしてその解決を原作では短く描写することで余韻を断ち切っているのだが、今回のアニメでは少し長く描写したために想像の余地を奪っている感があった。それに原作のオチは、のび太をつきはなしたドラえもんの台詞も楽しかったものだが、そうしたテイストが再現されていないのが残念。