法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『机上の空想 シェイクスピア・ゲーム』

NHK総合で深夜に放映されていた企画番組。与えられた設定で出演者が空想しあい、新しい物語をつくりあげる。2014年9月にBSプレミアムで放映された番組の地上波再放送らしい。


展開を合議で決めていくか、それともリレー形式かと予想していたが、大きく外れた。
司会が示した設定のもと、出演者が登場人物を細かく考え、自分の役割りを演じていく。出演者のかけあいを見ながら、司会は新しい設定を出していく。いわばテーブルトークRPGのような即興劇。
しかも司会の設定があやふやで、リアリティのラインが低い。姉の結婚話という始まりで、途中から結婚相手が吸血鬼という設定が加わったりする。つまり物語の完成度よりも、出演者の苦闘を楽しむべき番組だった。


1番目「さるかに合戦」で、よくある古典改変を楽しもうかと思った矢先、出演者のつけくわえた設定のゆるさに驚いた。役者をやっているフンとか、バンドを解散したウスとか、時代設定はいつなんだ。ポイントとなる出演者ばかりピックアップされ、機能しない配役が多かったのもイマイチ。最後のまとめなど、ウス役と司会のかけあい部分だけで終わっている。
2番目「虫面接」は、死後の世界で生まれ変わろうとする者たちが、虫への転生の権利を争う。これは設定がお題として機能していて、出演者の出番が等分にあり、自由度も高かった。死後の世界がある世界観なのも、リアリティのラインをわかりやすくしている。ちゃんと寓話っぽい争いが起きていたし、転生権を獲得できなかったキャラクターも印象に残った。前世をキムチという食品にして、カタコトで場をかきみだした出演者は、番組MVPも納得の即興力。
3番目「姉の彼氏」は、姉が恋人をつれてこようとして、家族が右往左往する。これは最初の配役が平凡なのが良くなかった。部外者の電器屋という配役を思いつけた出演者が番組MVPになれたのは当然だが、それくらいの意外性は最低水準であってほしかった。たとえばボケて会話ができなくなっている祖父とか、外国で結婚しているゲイの弟とか。後から吸血鬼という恋人設定が出てきたのは、展開まで平凡になってしまったためだろう。