今回は2番目がアニメオリジナル。藤子・F・不二雄ミュージアムの実写CMも放映。
「まる見え!断層ビジョン」は、さまざまな地形や建物を透明ケース内に再現する秘密道具が登場。拡大縮小して人体の断面図を見たりする。
いかにも理科の教材になりそうな秘密道具。普段は見ることができないものをビジュアル化することで好奇心がくすぐられる。地殻やマントルの説明は省略しないでほしかったが、小道具をていねいに描写する高橋敦史コンテらしさは光っていた。宝を探す独特な背景動画は、ちょっと珍しい手法を使っている。
中盤からアニメオリジナル展開がはじまる。しずちゃんが珍しく風呂に入っていないという描写に変わり、のび太に注意したドラえもんまで風呂場をのぞこうとした問題描写はさしかえ。猫型ロボットが人間の裸体を見たがるのは原作でも違和感あったし、教育的にもしかたないところではあろう。
かわりのアニメオリジナル描写として、美味しいスイカを選ぼうとする展開が入る。ちょっと季節外れだが、中身を音で判断できる身近な題材として選ばれたのだろう。グルメ番組っぽさが、次のエピソードにつながっている感じもある。
「突げき!のび太のグルメリポート」は、いつも美味しいものを食べられるグルメリポーターをうらやましがり、秘密道具「グルメリポートカメラ」で様々な場所の料理を楽しもうとする。
料理そのもので楽しませるのではなく、のび太のボキャブラリーの貧しさで笑いをとる。舌まで貧しいため、高級食材をアピールするスネ夫を無視して新発売のカップラーメンを楽しむところは良かった。しかし原作でののび太は料理や漫画の感想はうまいように描かれていて、描写として違和感がある。
カレーがまずいカレー屋が、趣味でつくっているケーキはうまかったというオチも、リアルだったからこそ驚きが足りない。
「今年もあの日がやってきた!」は、ジャイアンの誕生日をめぐる、ちょっと不思議なテイストの物語。
のび太たちが何を恐れているのかを明かさない導入から、ドラえもんがジャイアンに手をかしたため誕生日会が開かれてしまう前半まで、ひとつのエピソードとして完結している。しかしジャイアン自身が不満を爆発させて誕生日会を終わらせてから、ジャイアンとドラえもんだけで誕生日までの日々をやりなおしていく。
途中で視点が異なる構成が珍しいし、ドラえもんとジャイアンだけが協力するエピソードも少ない。アニメ独自の面白味こそないが、ていねいにイベント回を映像化していた。