法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』おざしき水族館/オダチンパンジー/のび太の長い一日

今週は1番目だけ原作あり。


「おざしき水族館」は、スネ夫の自慢話に対抗しようとして、秘密道具をくみあわせて水中の風景を手軽に楽しもうとする。
使えなさそうと思った秘密道具が、ドラえもんが解釈することで、偶然に意味をなす。新しい秘密道具が出てこない短編は、原作後期では珍しい。ポケットをはずしていたため危機をきりぬけられないクライマックスなど、大長編の縮小版といっていい。
今回のアニメは原作にほぼ忠実。「コエカタマリン」が意味をなさなかった原作と助かる経緯が異なるくらい。水中の風景にはそれなりに力が入っていて、アニメ独自の見せ場にはなっていた。


「オダチンパンジー」は、こづかいが足りなくて漫画雑誌を買えないのび太が、お駄賃をくれそうな人物をさがそうとする。
“手伝いはお駄賃のためするものではない”と説教したドラえもんが、漫画雑誌を買うためと聞いたとたん“お駄賃は正当な報酬”といいだすテノヒラクルクルが楽しい。もともとの原作やリニューアル後のアニメでは、欲望全開キャラクターである。
それでいて行列していた大人との意外な展開で、自然と教訓話に戻した。ネーミングなどで原作センスとの微妙なズレは気になったが、アニメオリジナルの“いい話”としてはよくできていた。ゲストキャラクターも全体的に味のあるデザイン。
映像面では、行列していた大人視点の極端なロングショットなど、カメラ位置が面白い。コンテを担当していたのは善聡一郎監督。


のび太の長い一日」は、しずちゃん出木杉が仲良くしているため、のび太は落ちこみ、しばらく会わないことで心配してもらおうとする。
プロットだけなら、期限付きの「ためしにさようなら」といったところ。気持ちまで“すれちがい”と秘密道具に判断されるため、ドラえもんをとおしても意思をつたえられない。しかし感動的すぎる再会のイメージシーンや、しずちゃんのモノマネをするのび太など、全体としてコメディ色が強い。最後に会いにいけた場所も、よりによって風呂場という。
秘密道具のタイマー設定を間違っていたという真相は、「強いイシ」を逆転させたもの。いかにものび太らしいオチではあり、理由としては納得できた。