2005年をピークに売り上げを落としている日本アニメの現状と、各社の挑戦を紹介していく。
NHK クローズアップ現代
外国の規制を考慮した『ドラゴンボール』新作の制作や*1、イタリアの嗜好を反映した『ルパン三世』新作デザイン、各社共同による配信事業の模索や、逆に一社単独で利益を確保しようとする『シドニアの騎士』の挑戦。
それぞれの新作のメイキングや新規映像、企画意図が説明されたのは楽しかった。山室直儀監督の作画修正の巧さと速さは凄いし、『ルパン三世』の映像は予想以上に力が入っている。
しかし商業的な挑戦という面では、残念ながら2008年の『NHKスペシャル』からの進歩をほとんど感じなかった。
『NHKスペシャル』日本とアメリカ 第2回 日本アニメ vs ハリウッド - 法華狼の日記
同じように欧米進出を目指す各社を描いていたが、完成作品の評価は悪くなかったものの、制作会社の挑戦は全体として力不足に終わり、現在にいたっている。
商品として魅力があったから改善をおこたったのだという『クローズアップ現代』での主張は、2008年の挑戦を念頭におくと認識が遅れているように感じられる。
日本アニメの商品としての魅力を、まだまだ過大評価しているように感じられた。漠然と「オールジャパン」の魅力を主張するのではなく、『シドニアの騎士』のように作品をていねいにつくり、それをどう対価に結びつけるかという、個別の問題として考えていくべきでは、と素人なりに思った。
*1:その対比として、韓国の3DCG作品が現地の意見を求めながら制作していく風景も興味深かった。