法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『Go!プリンセスプリキュア』第4話 キラキラきららはキュアトゥインクル?

変身アイテムをさがしていた主人公たち。ファッション雑誌の表紙で、人気モデル天ノ川きららが手にしたキュアパフュームを見つける。
3人目のプリキュアになるかと思いつつ、となりのクラスにいた天ノ川に会いに行ったが、あっさりアイテムを返されてしまった……


今回に登場した新プリキュアは、過去シリーズにない自立性が面白かった。初代はタイトルからして『ふたりはプリキュア』だったように、強いキャラクターが仲間とともにあることでプリキュアになれる物語。その後は単独で変身できるようになっていくが、欠点をおぎないあうか、超然としたキャラクターばかり。新規参加のプリキュアは当初に孤立しているが、それは否定的に描かれる。
天ノ川は人気モデルとして活躍し、学校での関係より仕事を優先しているが、あくまで対等にふるまおうとするし、プリキュアの超常性に興味を示さない。アイテムをあっさり返して関係を断ち切ったかと思いきや、春野はるかがドーナツをさしいれると喜んでいっしょに食べる。最終的に変身するのも、イベントを怪物に邪魔された怒りからであって、戦いが終わればアイテムを返そうとする。
その自立したキャラクターを嫌味なく成立させるため、流れを細かな描写が支えている。落し物を私物化したわけではないことを、プレゼントと思ったという台詞で説明。人気モデルらしい思考の描写でもある。残ったアイテムの部品はファッションショーで身につけているが、きちんと状況を変えている。控室の箱に入っていたことで、用意されたアクセサリーと考えてしまったという展開。春野がドーナツをさしいれた時は、ペットボトルの茶を2本買って、いっしょに食べようと天ノ川から提案する。


天ノ川のキャラクターが自立しているから、春野と海藤の関係も深められた。新キャラクターが加入しつづけるタイプの物語は、序盤にはぐくまれた関係が立ち消えになりがち。そこを逆に、天ノ川と会うついでに街を見てまわろうと提案したりする。
脚本を初回から連続して田中仁シリーズ構成が担当していることが、この細やかさを生んでいるのかもしれない。あるいは、序盤のキャラクター関係を守る展開は『プリパラ』を参考にしているのだろうか。キャラクターを大切にした結果として偶然に似たのなら、それはそれで興味深いが。


映像もまずまず良かった。座古明史演出に爲我井克美作画監督という布陣は、少し前まで『トリコ』を手がけていたコンビ。全体をとおして良作画アクションを維持した作品のスタッフだけあって、屋外の前半と屋内の後半で2回もボリュームある戦闘を見せながら、絵作りに無理を感じさせない。キュアトゥインクルの変身バンク作画も期待通り*1
ただ、ファッション雑誌の表紙デザインだけはオシャレにできなかったのかと残念に感じた。せっかくOPやEDでフォントを一新している作品なのに。

*1:シリーズディレクターのツイートによると、板岡錦作画とのこと。https://twitter.com/tanakarion/status/569289114698121217