ミオに対するトカッチの恋愛をうっすら描きつつ、あくまで主人公側の問題は故郷に戻ることが第一目標。その目標にまつわる戦隊内の温度差を描くため、トカッチにスポットライトを当てたといったところか。実際、コメディリリーフゆえにトカッチが最も戦隊内のコミュニケーションに気配りしてきたわけで、適任といえるだろう。
ふと思い出したが、トカッチにはリョウという兄がいたはず。ひょっとして皇帝ゼットの正体が兄だとすれば、ここにきてのスポット活躍も面白い前振りなのだが、さてどうなるか。
全体でいうと、あいかわらず小林靖子脚本回の一石二鳥な構成がうまい。まだ故郷に戻ることはできないが、思いだけでもとどけようとする結末は、素直に胸に落ちる。しかも思いを記していく描写が総集編をかねるといううまいつくり。
そのまましっとり終わっても良さそうなところ、主題歌担当のバンドを劇中に登場させるサービスで大満足。「君に届く言葉」は二重三重のいみがあったのだ。しかもバンドを作業員として登場させることで、一回きりのゲストキャラでも世界観になじみつつ、虹野明以外にも作業員がちゃんといるのだというエクスキューズになっている。
