法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

北岡伸一ビフォーアフター

2014年の半年間のメモとして。
http://www.asahi.com/articles/ASG5M763GG5MUTFK018.html

北岡氏は、安保法制懇のメンバーに集団的自衛権の行使に反対する人がいない、という報道についても「自分と意見の違う人を入れてどうするのか。日本のあしき平等主義だ」と強調。さらに「NHKだって必ず番組に10党で出すから、議論が深まらない。鋭い論法でやっていても、あとで視聴者から反発が起きる。安全保障の専門家は集団的自衛権に反対の人はほとんどいない」と持論を展開した。

http://www.asahi.com/shimbun/3rd/2014122201.pdf*1

 権力に対する監視は、メディアのもっとも重大な役割である。しかし権力は制約すればよいというものではない。権力の行使をがんじがらめにすれば、緊急事態における対応も不十分となる恐れがある。また政府をあまり批判すると、対立する他国を利して、国民が不利益を受けることもある。権力批判だけでは困るのである

権力側でふるまう時は賛同者だけを集めて、メディアの権力批判に対しては違う意見があることを求める。これは形式的な中立すら守れていない。かつては良識的に思われていた知識人が権力側で仕事をして、かつての良さを失っていく光景はよく見たものではあるが……
むろん下記エントリで指摘したように、従軍慰安婦報道にまつわる第三者委員会報告書を読んだ「専門家」が、北岡個別意見に事実関係で賛同することはまずないだろう。
朝日新聞を検証する第三者委員会を検証する第三者委員会が必要だ - 法華狼の日記
秦郁彦氏ですら心情的にはともかく、実証において「百人切り」も「強制連行」も北岡委員の見解に反する主張をしていた。


ところで北岡伸一氏は安倍晋三首相のブレーンだが、2013年のコラム記事において消費税増税社会保障圧縮の必要性をうったえていた。
安倍首相に問われる政治主導の覚悟 | nippon.com

経済における課題は、巨額の政府債務である。累積債務はGDPの200%に達し、毎年の税収は歳出の半分にも及ばない。これを克服するためには、経済成長を促して税収を増やし、消費税などの税金を増やし、社会保障を圧縮し、行政のスリム化をはかるなど、多くの困難な政策が必要である。

仮にアベノミクスといわれる以上の政策が成功しても、それだけで累積債務問題は到底解決できない。さらなる消費税などの増税と、社会保障の圧縮、そして行政機構のスリム化などが不可欠だろう。

あまり経済政策にくわしいわけではないが、どうにもリフレ派のいうメカニズムと異なっているように思える。
安倍首相のいう財務省の陰謀が実在するならば、すでに政権内部に巣食われているのではないだろうか。

*1:93頁。