法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

山谷えり子大臣が今回とりさげたのとは逆の意味でも、日教組の組織率と学力の相関関係は、おそらく存在しない

山谷大臣の場合は、約4年前の主張をとりさげたらしい。
http://mainichi.jp/select/news/20141025k0000m010027000c.html

 山谷えり子国家公安委員長は24日の衆院内閣委員会で、「日教組日本教職員組合)組織率と学力テスト結果は相関関係がある場合もない場合もある」と述べた。山谷氏は野党時代の2010年10月に国会で質問した際、「日教組の支配が強い所は全国学力調査をやれば下の方に並ぶ」と発言していたが、打ち消した。民主党泉健太議員の質問に答えた。

 山谷氏は10年10月の参院内閣委で、北海道、大阪、三重、高知、沖縄の5道府県を例に挙げ、日教組の組織率が高い地域は学力が低いとの見方を示していた。【田所柳子】

よく似た話を約6年前にとりあげたことがある。産経新聞の阿比留瑠比記者のブログ記事を追認調査した個人ブログエントリを批判したものだ。
実は、日教組の組織率が高いほど順位も高くなる件について - 法華狼の日記

実際に高順位の地域を除くと、組織率が高いほど順位も高くなる傾向になる。組織率が最も低い地域が全国下位で、組織率が最も高い地域が全国中位にあることを見れば、感覚的にわかるだろう。組織率の順にならびかえ、線グラフを描いてみてもわかりやすい。

そもそも母数が少なく、地域選択が恣意的なので、実態を反映している保証はない。それなのに自説と反する資料を堂々と提示してしまう神経が興味深い。

そこで批判の参考に紹介させてもらった奥村エントリだが、むしろ日教組の組織率が高いほど学力も高くなる有意な相関結果があると指摘されていた。

朝日新聞の統計が粗雑という点にも言及されている。
日教組組織率と学力:補遺 | Okumura's Blog
組織率が高いほど順位が高くなる現象については、微妙だが有意な差が見られるとのこと。
全県の情報が正確にそろえば、また違った数字が出てくる可能性はあるだろうが。

ただし奥村氏も注意しているように、この時に使われたデータは半分以下の都道府県しかそろっていなかった。


そこで気になってコメント欄を追っていくと、1991年というやや古いものの全都道府県のデータを紹介するコメントがあり、それにもとづくと組織率と学力の有意な相関は見られなくなったと奥村氏が結論づけていた。

τ = -0.013,p = 0.8978 で,相関なしと言っていいと思います。

もともと相関関係があるからといって良い因果関係があるとはいえないとはいえ、皮肉さが薄れたのは少し残念ではある。