法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『日経エンタテインメント!』の「後世に残したいアニメランキング」への疑問

ガンダム、エヴァ…後世に残したいアニメランキング|エンタメ!|NIKKEI STYLE

鉄腕アトム』が放送された1963年、わずか6本だったテレビアニメの制作本数も、2012年は222本(日本動画協会調べ)、劇場版も50本を超え、今、まさに隆盛を迎えている。

上記のように各世代にわたって無数の作品が存在するアニメで、どのようにランキングを作ったのかと思えば。

【調査方法】1960〜1990年代に放送されたテレビアニメおよび、発売されたOVA、劇場公開された映画の中から200作品を編集部が抽出し、25〜34歳、35〜44歳、45〜54歳の男女、各世代合わせて1000人の日経BPコンサルティング調査モニターにウェブ調査を実施(調査期間:2013年12月11〜18日)。

抽出した作品の数は2012年に放映されたTVアニメ以下。しかも最新でも1990年代の作品なのだから、視聴サイクルの早いアニメ界では「後世」に残っている部類ではないか。


細かい内訳を見ても、リメイク作品をどうあつかっているのか疑問をおぼえる。
ガンダム、エヴァ…後世に残したいアニメランキング|エンタメ!|NIKKEI STYLE

 2位には40代、50代の女性票を集めた『魔法使いサリー』が入った。「最後のシーンは感動的」(40代女性)、「夢がある」(40代女性)など、“乙女心は永遠”であることを証明した。

ランキングを見ると「1966年」とあるが、40代の投票には1989年版の好感度もふくまれているのではないかという疑念がぬぐえない。『ゲゲゲの鬼太郎』や『オバケのQ太郎』も初代のモノクロ作品がランクインされているが、やはり疑問をおぼえる。
1980年代作品のランキングを見ると、『機動戦士ガンダム』シリーズの各作品は別々にランクインされているので、さすがに意図して混同させるつもりが編集部にないことはわかるが。
ガンダム、エヴァ…後世に残したいアニメランキング|エンタメ!|NIKKEI STYLE


ちなみに総合20位代を見たところ、『カウボーイビバップ』や『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』が『美少女戦士セーラームーン』や『ちびまる子ちゃん』より高い順位というのは、少し意外なランキングではあった。
しかし1990年代作品に限定したランキングでは『ちびまる子ちゃん』が1位で、『カウボーイビバップ』が最下位なところから考えると、知名度がある作品で投票が分散した結果、総合で意外な順位となったのだろう。


いずれにせよ、編集部が200作品を選んでから上位50作品を決めても、ほとんど編集部の決めた作品内で順位を決めただけの結果にしかならない。これでは編集部が後世に残したいと思っているアニメランキングだ。
さらに、たいていのアニメランキングのように知名度投票にしかなっていないので、「残したい」と思うまでもなく後世に残る可能性が高い。全体総合と年代ごとの順位変動からも、知名度という条件が大きいことがうかがえる。
たとえば作品を認知しているかも調査し、認知した母数に対する好きな比率でランキングを決定するとかしないといけない気がするのだが、どうだろう。