法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』チョコのび太をめしあがれ/青い月夜のリサイタル

今回はバレンタインデーに合わせたアニメオリジナル2本立て。サブタイトル表記もバレンタイン仕様で、看板がチョコレート製だったりする。


「チョコのび太をめしあがれ」は、スネ夫が高級チョコレートを女子にくばっていたことに対抗して、何でもチョコレートにする秘密道具「インスタントチョコメーカー」を出したところ、のび太自身がトラブルで機械に飲みこまれてしまう。
いろいろなものをチョコレートにする場面まではひねりがなかったが、のび太がチョコレート化してからは面白い。のび太をママが意図せずかわいいと評価して、どちらが食べるかでジャイアンスネ夫が争うというキャラクタードラマとしての楽しさ。カーニバル描写は藤子F作品に頻出するモチーフでもある。
今回も楠葉宏三総監督のコンテ演出。ママの喉奥から外を見るカットなど、けっこう面白い構図が多かった。


「青い月夜のリサイタル」はミュージカル回。ドラえもんの恋する猫ルナを応援しようと、みんなが歌で協力する。ドラえもんが涙を飲んでキューピット役にてっする主軸や*1、秘密道具「メロディーお玉」をめぐるジャイアンとのやりとり*2は原作からの引用。
ルナの声を演じるのは華原朋美。「月の光」にオリジナル日本語歌詞をつけて歌う場面だけでなく、かなり長い台詞もあったのだが、予想外に違和感のないアニメ声で悪くなかった。「ウフフ」のような素人には難しい笑い声も、歌手声優としては問題ないレベル。
そして、のび太ジャイアンスネ夫が歌を作って披露する。ここはかなり作画演出に力が入っていて、歌に合わせた芝居やカット割りが完璧。大杉宜弘コンテに氏家友和演出、三輪修作画監督といったスタッフの力が感じられた。

*1:ほとんど「恋するドラえもん」そのまま。

*2:単行本第16巻に入っている原作のサブタイトルは「シンガーソングライター」。しかし作詞作曲しているジャイアンが秘密道具で作った楽譜に対して、「俺が楽譜を読めないのを知っているだろ」と怒るのだが、佐村河内守ゴーストライター事件と比べると充分に立派だし、実際に楽譜が読めないプロの歌手も少なくはない。サービス精神もあるし、質さえともなえればジャイアンは良い歌手なのだが。