特殊な膜をもつことで海中生活できる人々がいる世界で、地上の漁村と衝突しながら成長していく子供たちを描くオリジナルアニメ『凪のあすから』。よくSF小説原作のTVアニメ『新世界より』に似ているという評価を見聞きする。
キャラクターデザインの目鼻立ちバランスが似ているとか、ファンタジックな設定に見えて児童文学のように強固な社会の抑圧を描くストーリー、そしてひと段落するごとに時間を経過させて子供たちが成長している構成、といった理由があげられている。
しかし、ふたつの共同体の衝突と、その衝突をさけて生活しようとする子供たち、大きな事件で仕切りなおすように時間を経過させた構成、そして別離ではなく再開でつむいでいく物語と、シリーズ構成のつくりはSFロボットアニメ『青き流星SPTレイズナー』に近いのではないだろうか。
ふたつの共同体が物理的に遮断されるという重要な設定も、物語上の位置づけこそ違えど、共通している。
……という与太話をとなえようとしていたので、第15話を見ても新OPのリリカルポエムに変更がなかったことが残念だった。てっきりその回ごとにスポットのあたるキャラクターがモノローグする演出だとばかり思っていたのに。
何にしても、情念を押し殺した静謐な黒い物語である『新世界より』より、大きな衝突がより大きな対立や小さな葛藤を生んでいく熱く青い物語である『青き流星SPTレイズナー』に近しいものを感じているのは本当の印象。