法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

さすがに特定秘密にあたらないとした日本政府も、従軍慰安婦の個人情報を公開しないと答弁したとのこと

10日ほど前、日本維新の会山田宏議員が質問したことが発端だった。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131115/plc13111523550031-n1.htm

 政府は15日、衆院国家安全保障特別委員会で、慰安婦募集の強制性を認めた河野談話の根拠となった日本政府による韓国での元慰安婦16人の聞き取り調査の資料について、特定秘密保護法案の「特定秘密」には該当しないことを明らかにした。

 日本維新の会山田宏氏の質問に、答弁者の佐々木裕介内閣参事官が「法案では特定秘密は安全保障上の情報となっている。調査結果は該当しない」と答えた。

 山田氏は政府側が非公開を前提とした調査だったことを理由に公開しないことに対し、「この調査で河野談話が作られ、わが国が不当に批判される原点になっている。明らかにすべきだ」と述べ、証言の事実関係の調査を求めた。

特定秘密保護法案にからめ、特定秘密にあたらないという答弁をひきだし、河野談話発表時の調査を公開するように求めていた。
これに対して、個人を特定しかねないため調査報告書は公表できないと、あらためて政府側が答弁したらしい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131126/plc13112612470015-n1.htm

 加藤勝信官房副長官は26日の衆院国家安全保障特別委員会で、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の「河野洋平官房長官談話」の根拠とされた調査報告書の内容を公表しない考えを示した。「非公開を前提に聞き取った。個人を特定することが可能になる恐れがある」と説明した。

どちらも速報的な短い記事で、報じている産経新聞の見解は明記されていない。通信社から購入した速報をそのままのせただけなのかもしれない。


もちろん再検証そのものは将来にわたって行うべきと思うし、それが可能なよう資料を保管しつづけるよう政府に願いたい。それを妨げるから特定秘密保護法が問題だという一点においては山田議員にも一理ある。
しかし一般的な事件においても、たとえ被害の訴えに疑問があっても、被害者の個人情報を安易に公開できるわけがない。従軍慰安婦問題にいたっては性犯罪の側面を持っている以上、なおさらだ。顔を出した証言者が誹謗中傷にさらされている現状を見ても、いっそう保護する必要がある。


より広範な地域から多数の証言が集められている現在、河野談話の根拠になった報告書にこだわる意味もあまりない。それより日本政府が歴史学者に公開を求められているのに応じていない資料がたくさんある。
それとも、戦前戦中の資料が安全保障上の秘密に該当するとでもいうのだろうか。現在の日本政府は戦前から連続した安全保障体制であるとでもいうのだろうか。同日に特定秘密保護法強行採決した政府の動きを見ると、あながち冗談や皮肉ではすまなそうだ。