法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』マジックハンドでやりたい放題/ゴルゴンの首

今回は前後半ともに原作があるが、大きく印象を変えている。


「マジックハンドでやりたい放題」は、遠くの物体を操作できる手袋のような秘密道具「マジックハンド」が登場。それを使って、のび太は気づかれないようにジャイアンへ復讐する。しかし、のび太はすぐにイタズラをはじめ、誰にもしっぽをつかませないまま暴走をつづける……
頁数の少ない原作を、ほとんど展開を変えずにアニメ化。そのため、やや尺が短くなっている。物語もオチも全くといっていいほど同じなのに、キャラクター芝居やカメラ位置が異なることで印象が大きく変わるところが興味深い。


「ゴルゴンの首」は、ギリシャ神話に登場する怪物ゴルゴンをモチーフにした秘密道具が登場。のび太は、廊下に立たされても疲れないためだけに、光線のあたった部分が石化する能力を利用。しかし、少し目をはなしたすきに秘密道具が逃げ出し、裏山に入った人々を無差別に石化させはじめる……
原作でトップクラスに恐ろしかったモンスターホラー回を、導入部分までは忠実にアニメ化し、モンスターが逃げ出すあたりからオリジナル展開へ移行。捕獲作戦の描写をふくらませたり、しずちゃんを後半に登場させて主人公の奮起を強調したりした。
先の見とおせない裏山を舞台に、小さすぎて見つけづらいモンスターをつかまえるサスペンスとしては、なかなか悪くなかったと思う。しかし原作の、たがいに利己主義をむきだしにしながら仲間が次々に石化していく緊迫感までは、残念ながら感じられなかった。
今回のアニメスタッフが特に悪かったわけではない。TVアニメがリニューアルされた初期には忠実なアニメ化がされたが、やはり原作ほどの怖さはなかったのだ。かなり本腰をいれてアニメ化しないと、原作の異様な恐怖感にはかなわないのだろう。