法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『宇宙戦艦ヤマト2199』第23話 たった一人の戦争

ガミラス首都に突入するヤマトと、それを作戦にくみいれて遷都をはかったデスラー。かつて指摘された、波動エンジンを兵器に転用することの問題が、あらためて別角度から問われる。
そして首都中心にそびえるタワーへ体当たりして貫いたヤマトは、デスラーが首都を放棄してヤマトごと葬ろうとしたことで、首都住人を守る立場へと反転。タワーに突き刺さったまま波動砲を撃ち、結果としてタワーを崩壊させた。911テロ以降、何度もサブカルチャーで反復された情景が、逆に異なる人々をつなぐ光となる。


敵味方の首脳から末端まで、まんべんなく見せ場があった。それを壮絶といっていい作画と3DCGが支える。荒い描線が追いこまれた制作状況をうかがわせつつ、むしろ独特の迫力を映像として生み出していた。
やや何人か、ガミラス側で記号的な言動が目立ったのは残念だったが、短時間で群像劇を展開するため単純化するのも当然の判断ではある。言動は記号的であっても、切迫した状況でそれを選択した人物の思いは、たしかに映像として息づいていた。
ただ、そうして活躍する役割を分担していった結果、せっかく自発的に動いた古代進が目立たなくなったことだけは、もう少し工夫してほしかったとも思う。もっとも、飛来する破片をよけながら必死で森雪を救出するような尺の余裕がなかったことも、見ていて理解できてしまうわけで、本当に難しいところではある。