かもがわ出版の書籍紹介ページに、各新聞紙の紹介記事が画像で掲載されている。
隣人が殺人者に変わる時
その京都新聞6月16日の書評が目に止まった。
読者は少々戸惑うかもしれない。人々の語りは必ずしも首尾一貫していないし、論理や説明に矛盾を感じることもある。しかも、彼ら自身がその点を認めている。
しかし、それこそがサバイバーの証言なのだ。彼らは、経験を言葉にする作業を通じて、自分たちの身に起こった出来事を何とか理解しようとしている。
彼らの語りは、文字通りの事実ではないのかもしれない。それでもこの証言集は、彼らが経験した苦難とそれを乗り越えて生きる尊厳とを余すところなく伝えている。
当該書籍は未読ということもあり、私がつけくわえるところは特にない。
ただ、被害者が証言することの難しさは普遍的なものであることや、ゆらぎを内包する証言が無価値ではないことは、はっきりいえる。