法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『リトルウィッチアカデミア』

文化庁若手アニメーター育成プロジェクトアニメミライ」の2013年度作品に採用された企画を、吉成曜が初監督。企画および制作を担当したのはガイナックスから別れた制作会社トリガー。
アニメミライ[ animemirai ]

幼い頃に見た魔法ショーで魔法の魅力に取り憑かれ、ヨーロッパの魔女育成名門校「ルーナノヴァ魔法学校」に入学したアッコ。大きな期待とは裏腹に日々の授業は意外と退屈。保守的な魔法界の雰囲気を打ち破り、魔法に夢を取り戻そうと張り切るアッコだが、周囲の目は冷ややかで授業でも空回りの連続。唯一の味方はルームメイトで親友のロッテとスーシィの2人だけ。 そんなある日、学校でとんでもないハプニングが発生。思いがけず事件解決の鍵を握ってしまったアッコは、ロッテ、スーシィ達と共に学校崩壊の危機に立ち向かう!

YOUTUBEニコニコ動画で6月末まで公式配信されている。


アニメミライ」そのものに対しては、その育成効果に対する批判や疑義が内外からあるものの、完成した各作品の評価は基本的に高い。アニメーターが腕をふるうことで映像が楽しくなるだけでなく、わりと短編アニメとして物語のまとまりが良く、内容の娯楽性も充分にある。私が見た範囲では、批判者も完成した作品そのものには一定の評価を与えていた。
この『リトルウィッチアカデミア』も、魔法学校というベタな舞台設定から導入しつつ、憧れと学びの葛藤と昇華を描き、短い時間で過不足なく設定を消化していた。もちろん充分な制作体制で作られたアニメーションも、それだけで充分な見せ場になっている*1。言葉で説明するまでもないことはことさら台詞にせず、さりげなく映像で見せる。
地味に良いのが異常事態の発生と、その鎮静に主人公が向かう流れ。前者はキャラクタードラマにのせて自然に問題のある場所へ登場人物をふみこませ、後者はちゃんと指導者がフォローしようとして失敗する段取りを描写。物語の都合でキャラクターが動かされたり止められたりしていると感じるような不自然さがない。


ちなみに2014年度の「アニメミライ」に採用された企画と制作会社も発表されている。プレスシートにも企画内容は記載されておらず、まだ内容は仮タイトルから想像するしかないが。
アニメミライ[ animemirai ]
シンエイ動画出身で、今年は『宇宙兄弟』と『団地ともお』を並行して手がけている渡辺歩監督が、さらにA-1 Pictures企画の監督をつとめている。しかも今年度はシンエイ動画の企画も選定されているところが面白い構図。
他にはスタジオ4℃や、2013年のトリガーに3DCG制作会社サンジゲン等が合流したウルトラスーパーピクチャーズの名前もある。

*1:あまりに吉成曜作画の特徴が出すぎていて、若手アニメーターの指導をとびこえて、全修正しているんじゃないかと思ったりもしたが。ただしイベント報告によると、アニメミライの制限にしたがって、若手アニメーターへ責任を持たせるように仕事をさせたとのこと。http://togetter.com/li/468286