法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』イエコプター/しずかちゃんの最悪な誕生日

アニメオリジナル二本立て。わりとどちらも作画がいい。


「イエコプター」は家ごと空中旅行できる巨大な秘密道具が登場。ただし脳波で操縦するタケコプターと違って、操縦桿を握らなければならない。
おそらく、家を夜行列車化して旅をする原作から着想したのだろう。近年にアニメ化された時はいい出来だった。
『ドラえもん』雲に乗って学校へ/夜行列車はぼくの家 - 法華狼の日記
しかし今回は、夜行列車のしっとりのんびりした描写とは正反対。昼間に旅行するため、早々と行き帰りする必要がある。
ヘリコプターらしい機動を表現するため、手描き作画で旋回する家を描いたり、背景動画でダイナミックなカメラワークを演出したり、かなりアニメーションとして面白かった。食事のため、空中に静止して魚釣りをしたり、細かなエピソードも楽しい。
イエコプターが電池切れで人力で飛行しなくてはならなくなるオチも悪くない。タケコプターが電池切れする描写は映画『のび太の恐竜』で根幹的な設定となっており、その延長にある秘密道具に同様の制限があることに全く違和感がない。
元となった原作とは違う方向性の面白味を、しっかりした映像で表現した。今回はアニメオリジナルとして充分な出来。


「しずかちゃんの最悪な誕生日」は、ケーキ用のイチゴを買いに行ってボロボロになってしまったしずちゃんを救うため、のび太ドラえもんが過去に戻っていく。
忍者系の秘密道具を使いつつ、体をはって守る姿はけっこう面白かった。しずちゃんを家まで救った後も物語が続く趣向も、時間移動して守る系統の物語としては珍しい。
しかし、タイムパラドックスを全く考慮していないところは残念。案外と原作でも考慮していない回は少なくないのだが、アニメオリジナルが原作の最低水準に合わせると、相対的に悪く見えがちなものだ。