法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

第二次安倍内閣に対する最大の敵は安倍晋三首相自身の歴史観

辻元清美議員に対して国会答弁で否定し、ようやく最近に質問趣意書へ肯定する答弁書を出した*1と思ったら、これだ。
http://mainichi.jp/select/news/20130521k0000m010028000c.html

 安倍晋三首相は20日の参院決算委員会で、首相が第1次内閣時代の2007年4月に行ったブッシュ米大統領(当時)との首脳会談で従軍慰安婦問題について「申し訳ない」と発言したとの政府答弁書に対し、「共同記者会見の場で記者の質問に私が答えた。首脳会談の中で私がそう申し上げたわけではない」と否定した。神本美恵子氏(民主)への答弁。3月の衆院予算委員会でも「(日米首脳会談で)この問題はまったく出ていない」と否定していた。

 しかし、政府が17日に閣議決定した答弁書は、「元慰安婦の方々に心から同情するとともに、そうした極めて苦しい状況におかれたことに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。このような話をブッシュ大統領にも話した」という首相の共同記者会見での発言について、「首相から大統領に慰安婦問題に関する説明があったことを意味するか」との辻元清美氏(民主)の質問主意書に「日米首脳会談における首相の説明を踏まえたものだ」と回答。首相の国会答弁と、政府の答弁書が食い違う事態になっている。

安倍首相は、共同記者会見で嘘をついたか、今回に嘘をついたか、どちらかでしかありえない。一方の当事者であるブッシュ大統領が横にいた記者会見で事実を述べた可能性が高いと思うが。


ただ、記事を見ていて一貫性を感じることがひとつだけある。日本国内で面と向かって問われた時、謝罪をしてないと答える点だ。どうやら一人の時は気が強くなり、自分が元慰安婦へ謝った過去を否定してしまうらしい。
ただしブッシュ大統領のような相手であれば、会談においても謝罪できるし、その後の共同記者会見においても謝罪することができる。つまり日本人と日本の国会は下に見られているということだ。
もちろん、ブッシュ大統領らに面と向かって否認していないとしても、このように公表される国会答弁でブッシュ大統領と確認したことを否認した態度は、米国政府も知っているはずだ。『スパイ大作戦』のような真似事をする必要もない。そして米国が知っているはずだということは、一般人でも理解できる。


安倍首相は、野党時代だった半年前に、従軍慰安婦問題を否認する米国紙意見広告へ名をつらねていた*2。そして第二次内閣が始まってから第二次世界大戦で日本が侵略したことを否認するかのような主張をおこなった後に、現状がある。
内閣全体の行動としては、前回の経験を少しは反省して、早々と意見をひるがえすことが多いように見える。だが、安倍首相個人の能力や態度はほとんど変わっていないようだ。