法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ひるねは天国で/どくさいスイッチ

今週は前後半ともに原作からアニメ化。腰繁男コンテ演出、吉田誠作画監督で、かなり動き良し。


「ひるねは天国で」では、雲をかためる秘密道具を使って、ひろびろとした雲の上で楽しくすごす情景が描かれる。
後の大長編『雲の王国』の原型になったかのような内容を、ほぼ忠実にアニメ化。雲の上で楽しく遊ぶ様子を台詞にたよらず表現していて、作画も良く、ほとんど不満はない。
しかし後半に尺を回すためか、約7分ほど尺がなく、きちんとオチていないという印象があった。ほぼ原作通りのオチではあるのだが。


どくさいスイッチ」は、気に入らない他人を消す秘密道具「どくさいスイッチ」を使っていった末、絶対的な孤独を味わう様子を描く。
無人の街を自由に歩き回り、たっぷりの食料を集めて好きなものだけを食べる場面は、ゾンビ映画などで破綻と裏腹の自由を満喫する場面に通じる。いろんなお菓子にホイップクリームをたっぷり乗せる食べ方は、いかにも子供っぽくて、それでいて美味しそう。
原作では発端と結末でのみ登場していた野球を、誰もいないグラウンドでボール投げする場面をつけくわえ、重要なモチーフとして昇華させたのも巧かった。原作とは異なる成長描写だが、原作にあるモチーフを自然に利用しているおかげで、違和感がない。
ちなみに2005年に番組リニューアルされた初期にも、30分いっぱい使ってアニメ化された。釘宮洋がコンテ演出を担当し、誰もいないメリーゴーランドや風呂場で絶叫する場面など、アニメーターらしくアニメ独自の絵作りが印象的な回であった。最後に街に光が戻っていく情景は、今回でも使われていた。


ところで、今回からABパートの表記を、サブタイトル表記で感想を書くことにした。Bパートの途中でCMが入り、実質的にCパートが存在するようになってから長い。ずっと気になっていたのだ。