法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『はたらく魔王さま!』第1話 魔王、笹塚に立つ/第2話 勇者、仕事優先で魔王城に泊まる

細田直人監督作品。うん、これは悪くない。


異世界の住人が現代社会にやってきて、未知の苦労や幸福を味わうという物語は古典的だが*1、その導入部分がていねい。異なる言語や社会体制に戸惑いつつ、順応したり推測したりして、少しずつ視野を広げていく。シンプルな展開を愚直なまでにしっかり描写することで、逆にプリミティブな面白味がある。
初回は性的なサービスをほとんど入れていないところも良い。シリアスからコメディへの転調と*2、文明文化のギャップを中心に描いて、見どころが散漫にならない。一過性のギャグを優先して世界観を壊したりはしていないから、コントとして成立するのだ。
第2話から女性キャラクターが前面に出てくるようになっても、異世界人が現代日本に来た範囲で起こりうる範囲でのみサービス描写を入れており、やはり物語基盤が崩れずにすんでいる。異世界に来たからといって突然にキャラクター性を崩したりもしていない。


異世界の住人がアルバイトで毒気を抜かれるまではともかく、そのアルバイトに順応しきって肯定しているところは気にならないでもないが、その評価は今後の展開しだいかな。今のところは、それぞれキャラクターの態度に一貫性は感じるので楽しめているが。

*1:ドラえもん』にも「二十世紀のおとのさま」という、封建社会の殿様が現代日本へ来るエピソードがある。

*2:この転調のギャップを大きくするために力を入れた異世界描写も、それ単独で素晴らしい出来だった。