水曜プレミアシネマで視聴。120分の作品なので、エンドロール等を考えれば、あまり大きくはカットされていないと思う。
比較的に低予算ながらアカデミー賞を総なめにしたことで有名だが、なるほど確かによくできている。インドの物珍しい風景を、きちんとした撮影と照明で切り取っていけば、低予算でも必要充分な絵になるわけだ。オリエンタリズム。もちろん、日本でもふりかえればそこにある風景だが。
物語は、「クイズ$ミリオネア」の出題にあわせて、主人公の過去を描いていく。すでに日本でも番組が放映されていたおかげで、説明が不十分に感じることもなく、展開を予想しながら楽しむことができた。
出題内容でその時々のモチーフが提示され、警察の事情聴取で出題にからめた体験を語り、過去の実際の出来事が描かれるという、三重構造の語り口そのものも楽しい。
スラム街の兄弟がたどった道のりに三角関係的なラブストーリーが重なり、あまり期待しなかったアクション面でも楽しめて、映画を見たという満足度は充分あった。
個人的には、宿命的に正答することができたという物語基盤が好きではないのだが、作中CM中の出来事で主人公の意思があってこそだと示しており、納得できた。それに主人公の目的から考えれば、クイズに正答すること自体は、御都合主義とはいえない。
