法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『妄想代理人』の本職による感想

セックスワーカーの登場する映画を元風俗嬢が評価しているコラムで、『妄想代理人』がとりあげられていた。
風俗嬢コラム Worker's Live!!-Girls Health Lab: Sex Workerが観るSex Work映画〜その5「妄想代理人」

地味で真面目な女が多重人格で別人格が娼婦をやってて、その娼婦をやってる別人格はケバくてあばずれ口調でわがままでっていう、もう何千回そんな設定見たのって設定なんですよね〜。
せっぱつまってもう死にたいぐらい!って思ってる人のところに小学生の姿をした人殺しが現れてぶっ殺してくれるっていうオモシロイ設定の2004年のアニメでもセックスワーカーってこういう描かれ方なんだね〜、萎える〜とか思いながら観るのが味わい深いかんじ。
買春者の描かれ方も「またこれ?」ってかんじの非モテでデブスでロリコンでフィギュア好きとかで、薄っぺらい味わい。

よくできたTVアニメだが、登場人物の多くが類型にとどまっているという指摘は、たしかに正しい。もともと今敏監督が映画作品を作っている時に余った設定を寄せ集めた作品だ。二重人格の描写は『パーフェクトブルー』より単純だし、ホームレス像も『東京ゴッドファーザーズ』より単純化されている。特にメディアでの描写が類型的になりやすい職種から見れば、不満もおぼえることだろう。
ただし、『妄想代理人』は第9話「ETC」で、意図的に類型化した物語を並べていった。そこからひるがえって考えると、過去回で描かれた出来事も類型だったと自覚的に見せている作品という評価も可能だ。それだけは注意しておきたい。