法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

僕の考えた映画『ドラえもん』

アニメオリジナルで制作するなら、そろそろ日本の戦国時代あたりを題材とした作品があってもいいと思う。学校の勉強から逃げ出すため、古い日本の農村で生活する短編「昔はよかった」あたりから導入して。のび太が農村で生活するうちに愛着がわいて、その農村を救うために戦うという物語にすればいい。


もちろん、『ドラえもん』に近い作品で、同時併映の中編映画『ドラミちゃん アララ少年山賊団!』があるし、同じ原恵一監督作品で映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』もある。
そこで単純に敵を戦国大名にするのではなく、忍者を題材にしてはどうだろうか。敵は秘密道具が通用しない、いかにもフィクションらしい術を操る忍者。逆に、のび太が生活させてもらった農村こそ、史実に近い半農半兵な忍者だったという真相を用意すれば、現地のゲストキャラクターを活躍させられる。
過去にも映画『ドラえもん のび太と銀河超特急』で忍者は登場したが、あくまでテーマパークのイベントだったから、差別化できるはず。逆に考えれば、原作の雰囲気を再現しつつ忍者を登場させられる。他にも原作は忍者関係の秘密道具がいくつかあるから、映画にあわせてオリジナル設定を作らなくてもすませられそう。


もちろん敵忍者の能力設定が重要になるが、やはり未来の科学力を背景にせざるをえないかな。意図的な歴史介入にするか、それとも意図しない歴史介入にするか。
とりあえず、一例を考えた。物語のクライマックス、敵忍者の信仰していた神像がドラえもんだったことに、ドラえもん自身が驚くという展開。ドラえもんのび太を追って、映画の序盤から忍者村に来ていたはずなのに……という謎が生まれる。
実は、のび太を助けようと過去へ探しにいったドラえもんは、のび太が忍者村にいる時空よりも十数年前の時代から探しはじめたところ、戦場に出くわして壊され、停止してしまっていたのだ。そしてドラえもんを拾った戦国大名は、動かないドラえもんを摩訶不思議な道具を生み出す石像と勘違いし、支配下の忍者へ道具を貸し与えた。
のび太たちは敵忍者を倒した後、停止したドラえもんをタイムふろしきで元にもどす。そしてタイムパラドックスが起きないよう、記憶を調整して、のび太と映画の序盤に忍者村で再会した場面へ置いてくる。つまりドラえもんは無自覚にマッチポンプしているが、タイムパラドックスを起こさないためマッチポンプを止めないという、タイムループSFなわけ。
もちろん、何もかもがマッチポンプでは物語に奥行きが生まれない。あくまでドラえもんの能力は利用されただけで、戦国大名や敵忍者との対立をドラマにする。


結末は、のび太たちが忍者村を守って現代に残る。そして歴史には残らなかったが、忍者村の力によって、国一揆が成功して小さな平和が築かれたことを知る……といったあたりで充分だろう。
大きく歴史に介入すると『ドラえもん』らしさが薄れるが、過去の人物とふれあって本来の歴史に戻すくらいなら、許されるはず。


とりあえず、『アニマルアドベンチャー』を見ていて感じた不満を吐き出してみた。
せめて、もっとシンプルな設定で、非日常の世界を冒険しながら敵の存在に気づいていく、そんな映画『ドラえもん』を見たいのだ。アニメオリジナル映画の方向性を誰が主導しているかわからないため、アニメスタッフに問題があるとは限らないが。