法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

中沢啓治、死去

肺癌だったとのこと。
http://www.asahi.com/obituaries/update/1225/OSK201212250011.html

 自分の被爆体験を元にした漫画「はだしのゲン」で知られ、原爆の恐ろしさを伝え続けた漫画家・中沢啓治(なかざわ・けいじ)さんが19日、肺がんのため広島市内の病院で死去した。73歳だった。21日に家族葬を執り行った。

 広島市出身。6歳の時、爆心地から1.3キロの同市内の国民学校前で被爆。父と姉、弟を失い、直後に生まれた妹もまもなく亡くなった。中学卒業後、漫画家を志して上京。1963年のデビュー当初は原爆体験を秘していたが、66年の母の死への憤りをきっかけに、初めて原爆を題材にした作品「黒い雨にうたれて」を68年に発表した。

自伝的作品の『はだしのゲン』は、主人公が反戦活動家の父を持ち、戦前から社会に排除されていたことで、物語の射程を広げていた。偏向していたがゆえに、より普遍的で俯瞰的な社会を描くことに成功していたわけだ。
また、『はだしのゲン』が最も知られているが、他のマンガ作品もけっこう面白い。おおらかでいて過激で、いかにも往年のマンガらしい物語。絵の観点では、力強いが整理された描線で、今の目で見ても女性キャラクターが可愛らしいところも魅力だった。トキワ荘にも劇画にも貸本マンガにも属さない独特の絵柄は、アシスタントしていた一峰大二*1から来ているのだろう。


ちなみに『はだしのゲン』は2部作でアニメ映画化されている。それぞれ意外とアニメとしても見どころがある作品だった。
GYAOで『はだしのゲン』『はだしのゲン2』が無料配信中 - 法華狼の日記

*1:特撮番組を中心としたコミカライズの巨匠。