イメージソースとして過去のさまざまな映像作品を引いて、バラエティある物語を見せてくれた。次にどう展開するのか予測しにくいという意味では、良い意味でTV番組らしい。それでいて、一つ一つの完成度が落ちるということもない。
様々な表現手法を用いて名作映画の構成を30分番組におきかえる1クール目と、さまざまな作品の描写を引用して新しい物語を作る2クール目とで、パロディの傾向を変えたことも、作品のバラエティを担保した。
信長の秘宝探しという軸線が途中から放置され気味なところも、ちゃんとコントロールされていた。
ただし初回は『ローマの休日』から引用したと意識して見ても、その後の作品の展開がうかがいにくい。『ローマの休日』パロディ自体がアニメやマンガでは多いので、他のイメージソースを使うか、次回予告でもっと露骨に見せるかするべきだったのでは、と思う。
個人的に好みなエピソードをいうと、ミステリとして単独でも完成度が高くて自己言及的だった明智光秀回前編、AIや宇宙をあつかったSFとして細かな描写のこだわりが良かった武田信玄回、アニメでは珍しく大人の同性愛をしっとり描いた片倉小十郎回といったところ。
作画も意外と健闘しており、信玄回等ではアクションにも見どころがあった。
