法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『スマイルプリキュア!』第38話 ハッスルなお!プリキュアがコドモニナ〜ル!?

今回はマジョリーナと因縁を持つ警察官のあつかいかたが巧かった。
まず、幼児化した黄瀬が落書きをするという、いかにもキャラクター設定にあった行動をとる。その落書きを巡回中に目撃し、警官にとってマジョリーナが印象に残っていることが明かされる。それで終わるかと思えば、後でマジョリーナと出会って落書きについて話し、プリキュアと自然にひきあわせる。そうして段取りをふんで敵味方を公園に集める媒介となる。
さらに、老婆に対して優しく接する警察官の存在と、老婆の姿で描かれたことに怒ってグラマラスな自画像へ描き直すマジョリーナの描写で、今回の発端であり作中でバトルする唯一の相手まで、可愛いキャラクターと化す。


あと、緑川が幼児化した仲間を率いられる背景として、弟や妹がいるという家庭環境を、描写で強調しつつ台詞で説明しないところも良かった。
家族描写でいえば、はっきり描写されたわけではないが、幼児化した黄瀬も興味深かった。歯を見せて笑い、普段より悪戯好きな本性が現れていいたのは、父親が亡くなる前の年齢に退行したから、と感じたのだ。今回は全般的に過程がしっかり描かれているから、補完に労力を使う必要がなく、余白へ想像力を向けることができる。
今のところ、マジョリーナによって主人公たちがひどい目にあう回は、全体的に出来がいい。『ドラえもん』フォーマットの完成度の高さ。


本編全体のコンテは、やや平凡。作画監督も河野宏之なので、やや鼻と口の位置が高い手癖が出ていた。
しかし、通常よりも大勢のキャラクターを一つの画面に入れつつ、レイアウトは破綻していない。コミカルな幼児らしい動作も多くて、アニメとして楽しめた。また、奇をてらった構図が少ないことで、キャラクターの頭身が通常と違うことも際立っていた。
もちろん、学芸会的な変身シーンや必殺技シーンを新規で作ったような、力の入れようも嬉しい。