法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ラスト・ブラッド』

中編アニメ映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』を香港とフランスの合作で実写化した作品。タイトルも原作そのままなのだが、なぜか邦題だけ変えられた。GYAO!で配信していたので視聴。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00843/v09926/


原作は、手描き作画と3DCGそれぞれ日本における最高技術を投入しながら、わざわざ実写でも可能そうなアクションやホラー演出で構成していた。それが実写になると、オニが正体を現す場面は周囲で煙が回転したり、クライマックスが幻影の戦いになったりと、逆にデフォルメされた描写が多く、アクションも派手だ。VFXで描画された町並みや、オニのクリーチャー表現も、リアリティより異国情緒を優先したかのよう。
とはいえ、ベトナム戦争があった時期の日本、それも米軍基地周辺という舞台設定であるため、多少の映像の違和感は問題なく見ることができた。アクションの単純な物量も多く、多くを期待しなければ楽しめる。
中盤から組織末端の暴走にたよって物語を動かし、組織を矮小な存在におとしめたまま、きちんと回収していないなどの構成問題もあるが、二人の少女の出会いと別れがドラマの中心であるため、許容できる範囲。


原作を見た経験があれば、中盤まで物語や映像がアニメをなぞっていることに面白味も感じられるだろう。冒頭の列車内におけるアクションなど、完全にカメラワークを計算できるアニメと違って、実写は細かなカットに編集しても絵が決まらないため、原作の良さがどこにあったかを理解しやすい。
逆に、原作ではあっさりしていた最後のアクションが、それなりにカットを細かく割って派手に見せつつ、原作のイメージをそっくり再現していたところが面白かった。