ほんの少し前、維新の会に合流しようとする色気を出していたが、無かったことにするのだろうか。維新の会からすれば、結果的に良かったといえるかもしれないが。
そして、政権奪取の可能性が高い状況を目前にして出馬を断念した谷垣禎一前総裁を見ていると、順調に河野洋平元総裁や加藤紘一元政調会長の道を歩んでいるようだ。
その加藤議員が政治の中心から離れることとなった「加藤の乱」で、「あなたは大将なんだから」と止めたのが谷垣議員だったことを思うと、味わい深い因縁も感じる。先日、先達として総裁に助言したという加藤議員のインタビュー記事もあった。
加藤紘一氏「谷垣禎一氏は頑固で自分の意見変えない」と苦言│NEWSポストセブン
かつての側近の境遇を、いま加藤氏はどう見ているのか。
「彼はこの3年間総裁としてよくやったと思う。本来なら石原(伸晃)幹事長たちだって一蓮托生のはずなのに、責任がすべて彼に被されてしまっている」
盟友だった小泉純一郎氏をはじめ、党の仲間たちに次々裏切られた「加藤の乱」を思い出しているのか……。自身の失敗から、加藤氏は谷垣氏へこう助言する。
「私は、森内閣がのんびりやってたら民意が離れるよ、それを分かってなきゃいかんと思い、ある先輩から不信任案を真剣に考えろという忠告をもらったから行動を起こしたが、甘かった。アンチ自民の風が吹いていると思って扉を開けたら3〜5倍の暴風雨で、民意を誤ったんです。
谷垣総裁も政治そのものに国民から向かい風が吹いていることは分かっていても、それが自分個人にも向いているとは思ってない。彼は頑固なんですよ。こうした政局では長老たちに選挙の風を読む力がありますから、彼らの意見も聞くべきなのに、ハイハイというだけで一切、自分の意見を変えない。そうすると意見した長老も頭にカッと血が上りますからねぇ」
長老の意見を聞いて失敗したはずの加藤氏が、意外にも谷垣氏に長老の意見を聞けという。その心は?
「早期解散に持って行くのは止めたほうがいいとアドバイスしたのに、そうはしなかったから……」
いつの間にか自身も長老の仲間入りをしていたということか。
もちろん谷垣前総裁やその政治活動全てを肯定することなどはできないが*1、ここで政治家として詰んだことで、本人や周囲にとって良い老後をすごせそうな気もする。