法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

GYAO!で出崎統監督版『ブラック・ジャック』他が配信

冒頭5話まで配信だが各話で完結しており、1話が普通のTVアニメ2話分の尺なので、問題なく楽しめる。しかも配信開始後1ヶ月まで。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00923/v00025/
配信中のカルテ1「流氷、キマイラの男」は、閉ざされた孤島での皮肉な顛末を描いた原作に対して、キャラクターの因縁や過去を深く掘り下げ、病気も風土病という要素を加えることで、全く異なった味わいにしているところが興味深い。初めて見た時は、チェルノブイリ原発事故後の「サマショール」*1なども思い起こさせられて、愛郷心というものの恐るべき重力に震えた。「絆」や「愛国心」という言葉が安易に用いられている昨今、ぜひ多くの人に見てほしい傑作。
カルテ3*2とカルテ5もそれぞれ愛国心とは何かと問いかける社会派アニメとして、同様に強烈な内容だった。キャラクタードラマとしては、行きずりの少女と主人公を中心としたカルテ2、郷愁と耽美が入りまじるカルテ4も悪くない。


今月は映画も面白げなものがそろっている。
『ゆれる』は地味ながら法廷サスペンスとして、限界集落の嫌な肌触りを描いたドラマとして、なかなかの佳作だった。詳しい感想はいずれ。ちなみに同じ西川監督の『ディア・ドクター』も配信していたのだが、特別短期配信だったらしく、気づけば終わっていた。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00964/v00011/
ヒラリー・スワンク IN レッド・ダスト』はアパルトヘイト後の南アフリカ共和国を舞台として、真実和解委員会を描いたイギリス映画。どうやら評価は悪くないらしいが、題材が地味なためか劇場未公開とのこと。
http://rd.yahoo.co.jp/gyao/list/pg/name/00867/v00530/*http://gyao.yahoo.co.jp/p/00867/v00530/
麦の穂をゆらす風』はアイルランド独立紛争を描いた名作映画。感想はいずれ。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00908/v12151/
『ブラックブック』はヴァーホーヴェン監督が故郷のオランダにて、趣味全開でナチス占領下のオランダを描いた作品。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00867/v00529/
『忍びの者』は山本薩夫監督の忍者映画シリーズ第一作。大映が過去の名作70本をGYAO!で配信するというキャンペーンの一環。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00643/v09579/

*1:事故後に移り住んだ先の生活になじめない等の理由で、汚染された故郷へ戻った人々の呼称。「わがままな人」の意。

*2:感想はこちら。http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20080827/1219879574