法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『true tears』雑多な感想

バンダイチャンネルライブ配信で全話配信していたのを機会に視聴した。
無料ライブ配信 バンダイチャンネル
以前に序盤だけ見て、評判のわりに作画が良いとは感じられなかったのだが、通してみると安定ぶりがよくわかる。何度も描かれるバスケットボールの作画では逃げず、アニメらしく動かしていた。ただし物語に求められるだけの作画リソースを注いでいるので、作画単独で見どころを感じることは少なく、それが初回の個人的な期待倒れに繋がったのかもしれない。
あと、群集を3DCGで描く手法の勃興期にあたるTVアニメとしても興味深く見ることができた。技術そのものは粗いが、それゆえ歩いている群衆に走るキャラクターを混ぜたり、顔が見えるサイズなら必ず手描きに切り替えたりと、なじませようとする努力が行き届いている。
物語についていうと、鶏に仮託したキャラクターの心情が、関係の進展にともなって変化していくところが印象に残った。鶏をモチーフにした主人公の絵本も、いったんそれらしい皮肉な結末でまとめた上で、その上をいく結末を提示する。よくある不思議少女だった石動乃絵が、その聖性を失わないまま地に足をつけて終わった作品の展開そのままに。
しかし、大人キャラクターの抑圧的な行動を、さすがに全肯定はしないが、印象を好転させるには弱すぎる描写ですませてしまった問題も感じられた。なぜかPAワークス作品に同じ問題をしょっちゅう感じる。