法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『LUPIN the Third -峰不二子という女-』雑多な感想

トラウマ語りを最終的に否定して、キャラクターそのものの存在が立ち上がったところで閉め。峰不二子自身もふくめて、「峰不二子という女」を欲した、あるいは成りたかった者達の物語が終わった。
キャラクターに独自の過去を付与することなく、ファーストシリーズで出会った描写と極端な矛盾も出さず、うまくメインキャラクターの魅力を描き出していたと思う。
「ちょこざい」という形容が当てはまるような、いかにも『ルパン三世』らしいトリックを多用しつつも、ほぼ1話完結で展開した物語の密度は濃く、通常EDの意味をひっくり返す最終回のどんでん返しはなかなか。暗躍していたフクロウ仮面の下に隠されていた真実も、なるほど舞台に登らずとも作中に存在していることは確実な存在であり、納得できた。


ただ、終盤の石川五ェ門には、どうしてもネタキャラクターにさせてしまうのかと、少しばかり落胆した。原作版とは異なるキャラクターデザインで描かれていることから予想すべきではあったが。
峰不二子に成りたかった男性としてオスカーを配置したことも、それ自体は評価したいが、もともとメインキャラクターの大半がトリックスターな世界観でオリジナルのトリックスターとして描くべきではなかったと思う。同じ岡田麿里シリーズ構成の『CANAAN』のリャン・チーみたいに、愛を吐露したエピソードで退場しておけば、まだしもまとまったのではないかと。


初回の感想*1で書いたように、劇画調のキャラクターデザインを、最終回まで統一できたことは素晴らしい。『WEBアニメスタイル』の板垣伸コラムで制作スケジュールの厳しさが書かれていたが、その無理を画面に出すことはなかった。
要所で作画枚数を使ったアクションも楽しめ、特に第11話の寺田嘉一郎エフェクト作画は劇画調の画面デザインによく合っていた。