法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

たとえば私はG1

あくまで状況によって変化する選択肢の一つとしてではあるが。
「原発政策レーダー」を作ってみた - Togetter

緊急避難的な原発維持のみならず、政策全体の見直しにともなう増設という選択肢も排除しないという考えは、過去エントリでも明言したことがある*1
しかし[twitter:@joejoeu]氏の作った「原発政策レーダー」は、二軸で考えているようで、実質的にいつからいつまで維持するかという基準しかない。一軸でも表記が可能で、平面に配置する意味があまり感じられない。
実際のところ軸に書かれていることは、慎重さや必要性という基準もふくめて信仰でしかなく、他の基準を導入しながら選ぶしかない。私が仮に選んだ「G2」も、現在の原子力政策の転換を前提にしているゆえ「1」であり*2、それが叶うならば「G」という選択肢を排除できない、といった意味だ。異なる基準で考えれば、他の選択肢を選ぶ。


技術発展などの工学的な視点はもちろん、原子力発電の運用形態や、電力の需給状況すら判断に入っていないし、原発を設置する地域といった社会的な観点も軸に見当たらない。真面目に考えようとするほど、そして原子力現代社会を構成する一つの要素として考えるほど、この「原発政策レーダー」からは選びようがない。
たとえば、原子力政策は地方自治問題でもある。それゆえ私は、大都市に限られた住民投票国民投票に対して、どのような結果となるにせよ妥当性を欠いていると思っている*3
また、原子力は唯一の発電手段でもない。今のところ、電気が社会に必要という主張は、あくまで現時点での、電力供給を安定させる選択肢の一つとして原子力を利用する根拠だ。
現実の社会政策として考えるなら、現状をになっている企業や政治家への信頼性も重視すべきだろう。その際には、もちろん核武装への欲望*4も判断基準にふくまれるだろう。仮に、原子力が社会にとって代替不可能な存在と判断されるようになっても、使う側の問題が無視されることはない。むしろ重要な存在になればこそ、いっそう慎重な吟味と監視が必要となるはずだ。


そもそも軸の基準もおかしいように感じる。
たとえば「3」と「4」で、それぞれ2年と半年で「安全確認・確保」ができる表現になっている理由がわからない。せめて、それぞれ点検等にあてる期間という表現にするべきだろう。あるいは、これこそ「ゼロリスク信仰」ではないのか。
また、火力と同様に限りある資源である以上、半永久的に稼動させることは困難と考えるべきだろう*5。依存率を上げられ続けることを前提にしたかのような表現は、留保なく選べるものでもない。とりあえず、「廃炉」と「依存率」を直結させることは避けるべきではないか。

*1:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20110415/1302886254

*2:他に異議申し立てが可能な数字があれば、当然それを選ぶ。

*3:国民投票を支持している「マガジン9」でも、大都市に限定した住民投票に対しては、同様の観点から異議をとなえる記事が上がっていた。http://www.magazine9.jp/don/111005/

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012062102000113.html

*5:化石燃料と同様に、資源として使用できると推定される埋蔵量は増え続けてもいるが。