法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『スマイルプリキュア!』第20話 透明人間?みゆきとあかねがミエナクナ〜ル!?

田豊演出、小林雄次脚本。
今回は展開が見事。透明になることで起こる困難をコメディチックに描くだけかと思いきや、透明になるとはどういうことかという設定をつきつめており、一種の日常SFのようにも楽しめた。


描写に矛盾らしい矛盾もない。服や荷物も透明になるなら、その内側にあるノートも透明になるという描写は合理的。透明ならば光線が透過するはずだから視力を失うはずというSF考証すら、透明になっている者どうしは見えるという設定で、単に光学的に見ているだけではないと示す。
意図せず透明人間を見る能力を持ったことが解決の糸口になるかと思えば、それは敵から能力について言質を引き出すだけに終わる。次に透明を敵に解除してもらうが、ここでは敵への対処法を失うことになるという、希望が逆転する構図も面白い。さらに敵を音で見わけようとすれば、それも敵の策略で封じられる。必殺技を利用した逆転劇まで、きちんと設定にそって状況が二転三転していた。
設定開示の順序もていねい。冒頭から2人が同時に透明になることで、透明になった者は互いを見ることができると自然に理解できる。食べた物は口に入れた瞬間に消える、つまり透明なものに包まれたら消えるから、交番でカメラを服の内側に入れて透明になる描写も納得できる。


よく構成された物語は、遊びの多い演出によって魅力を倍増。
単に遊んでいるだけでなく、ギャグ描写で矛盾をきたしたりもしていない。目には絵の具を塗れないからと眼鏡を使うアイデアなど、脚本の指示かもしれないが、細かな描写が笑える映像として昇華されていた。
透明になっていることを示す冒頭のカーブミラー描写にしても、主人公の瞳に映るカーブミラーに主人公自身が映っていないという動きある描写だから、説明に段取りくささがない。くわえて、俯瞰なので背後に道路しか見えないところ、猫を通りすがらせるという一手間で、むしろ透明になっていることを強調していた。