法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『あそびにいくヨ!』雑多な感想

バンダイチャンネル無料キャンペーンでDVD版の全12話をマラソン視聴。AIC PLUS+制作。


2010年に制作されつつも、5年から10年くらい古い設定のSFラブコメだが、原作が2003年に始まっているのでしかたない。ノスタルジアを描くには時代が近すぎるので*1、単に古臭い作品として終わりかねないところを、高水準の作画と無駄のない構成で現代的な作品として成立させた。
絵柄もやや古いが、ちょうど2000年代初頭に人気があっただろうスタイルなので、作品の空気に合ってはいる。演出経験の多いとはいえない植田洋一*2初監督作品ながら、演出も平易で見やすかった。


原作者が沖縄在住ということで、ご当地ネタも多く登場する*3。初回冒頭で登場した不審船や、前半での在日米軍描写も、終盤できちんと物語に回収された。人類に友好な異星人を救うため*4の手段をロシアの売国者から主人公が買い、それをロシアの愛国者が邪魔するという転倒が、ちょっと面白い。
しかし全体として、社会派という印象はない。自主規制していないDVD版を視聴したこともあってか、物体だけ消滅させる兵器で女性が銃撃戦をすれば衣服が脱げる、風呂に入っていたところで敵が出てくると全裸で戦う、といったコロコロコミックレベルの煩悩炸裂ばかりが目立つ。見た後で何一つ残らない、割り切った娯楽作品といったところ。全話脚本を担当した高山カツヒコの巧さが出ていたと思う*5

*1:ただ一つ、過去に地球を探訪しようとした冒険者の補佐ロボットをめぐって、『キャプテンフューチャー』の引用で郷愁を描いたくらい。これも味方と敵のロボット観の差異を強調するための1エピソードとして用いられた。

*2:勇者王ガオガイガー』と『ガサラキ』での、美麗でいて立体として破綻の少ないキャラクター作画が印象深い。

*3:ただし、あまりに主人公の生活になじんでいるため、良くも悪くも異文化を楽しむような気分にはならない。

*4:人類に直接的な被害が出ないことは明示されている。

*5:1年後にシリーズ構成を担当した『真剣で私に恋しなさい!!』の、どの党派にも受け入れられなかったシリアス展開とは段違い。原作の違いが出たのかもしれないが。