法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』あの道この道楽な道/ポケットの中のしずかちゃん

原作短編のアニメ化と、しずちゃん誕生日回らしいアニメオリジナルと。


Aパートは、他人と立場を入れ換える秘密道具が登場。進む道を変えると文学的に表現されているが、よく考えると既存の秘密道具と重なる能力しかない。
のび太が欲望のまま秘密道具を利用し続け、決定的な破滅にいたらないまま逃げ切るという、原作でも珍しい展開をそのままアニメ化。尺がやや短いこともあって、良くも悪くもアニメの独自性がなかった。
ちなみに作画監督補の善玉琴は、善玉菌の洒落かと思いきや、夢弦館のアニメーター吉田誠の偽名説を指摘する方がいた*1


Bパートは水野宗徳脚本。ミニサイズになってしまったしずちゃんが、のび太のポケットに入って、協力して誕生日パーティーを盛り上げようと奮闘する。
小型化することで日常風景が冒険の舞台となるという、これまでもアニメオリジナルで鉄板の設定を、今回は等身大のままなキャラクターと協力するという新しいパターンで活用。ドラえもんの助けを呼ばないところは御都合主義かなと思いつつも、短い尺でよくまとまっていたと思う。
ケーキの仕上げなど緻密な描写が多く、過程そのものの楽しさも表現されていた。小失敗をくり返しつつ奮闘し、隠された優しさを知ることで、2人の仲が縮まっていく展開も良かった。2人だけの秘密を持ったまま誕生日を終えた結末も、甘酸っぱいラブコメとして楽しかった。
ただ、隣家の少女が原作とは違うアニメオリジナルの可愛いキャラクターだったのを、原作で出てくるガン子ちゃんにしても良かったかな。原作でいいところなしなキャラクターから、可愛らしさを引き出す方向性も見たかった。