時は明治40年。新聞社が合同で開催した、日本初の素人限定美人写真コンテストに密着する。
コンテストに出たがらない当時の女性に若手記者が依頼する先で重大事件に遭遇する展開かと思いきや、当時の写真撮影技術や、美人写真がどのように扱われていたかをストレートに描いていく。
女学生が人気だったとか、だから遊郭の女性も女学生の格好をしていたとか、写真が遊郭の客引きとして使われていたとか、そうした写真が修整されていたとか、現代との変わりばえのなさが何ともいえない。
しかし、時代が近い上に報道関係の出来事なので、調べると史実との齟齬が明らかになるかも……と思っていたら、そもそも劇中で密着取材する新聞社は、現実のコンテストに参加すらしていない。そこで、最後の最後の字幕によって、コンテストから降りるという形で現実の歴史に戻り、あたかも時間SFのようなオチにいたった。
価値観は人それぞれというテーマは真面目だし、修正写真をジャーナリストとして拒否する編集長の態度は真摯だが、結局のところ編集長の趣味嗜好で若手記者がふりまわされただけのような……
